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システム開発よりも工数が少なく済む?
RPA開発をはじめてからかれこれ数年になりますが、
よく聞くのは一般的なシステム開発よりも工数少なく済むんじゃないか言う話しです。
ちなみに工数とは作業時間のことを意味しています。
結論から先に言うと「かなり厳しい」です。
その理由ですが、
まずロボットを作るのは一般的なプログラミング言語で作るよりも時間がかかないと思います。
それはこれまでに作成されたロボットをベースにしたり、公式サイトから参考になるロボットを取得するのが可能なので、それらを元に作れば相応のものは出来上がります。
ですが、そこから先には実務に耐えれるように"検証"と言う作業が待ち構えています。
実はRPA開発で一番失敗しやすいのは、検証作業が不足していると言うのが大きいです。
簡単に作れるからと言ってポンポン作成して、検証作業を適当に済ませて稼働させるとどうなると思います?
ロボットが突然停止したり、更新して欲しくない資料を更新してしまい、それを修復するのに時間がかかってしまい、手作業の何倍もの時間を浪費することになります。
RPA開発において理解すべき3つのポイントとは?
理解すべき3つのポイントというものがあります。
・インプット特性を知る
・利用資材の仕組みを理解する
・運用環境を把握する
インプット特性を知る
これは業務担当者にヒアリングしたり、普段のインプットの使い方を観察して特性を理解します。
例えば〇〇台帳をもとに処理すると仮定します。
・○○台帳の具体的な作成手順は?
・誰が使用しているものなのか?
・いつ更新しているものなのか?
‥と言ったことを確認します。
人の更新したものをロボットが利用する場合、
当初の想定と異なる更新をしたり、参照すべき情報を人が掴んだままのため、ロボットが更新出来なくなったりする場合もあります。
運用ルールを徹底していれば、このような問題は出ませんが大抵の場合、ルールを知らないとか無視をすることもあり、ロボットの止まる原因になります。
「そんな事はないよ」と思うでしょうが、企業規模が大きくなればなる程、関係者が増えるので、その傾向は高くなります。
特に外部委託している企業などは、注意喚起を徹底する必要があります。
利用資材の仕組みを理解する
これはロボットが取扱う情報全ての資材を意味します。インプット、アウトプットの両方ですね。
例えば基幹システムにアクセスして情報を取得しているなら、その基幹システムの操作方法や利用可能時間も知っておく必要があります。
基幹システムは利用可能時間が決まっているので、ロボットが稼働し続けていても一定時間は使えなくなります。
また基幹システムの改定によって画面操作方法が変わったりする場合もあります。
その場合にはロボットも合わせて改定しないと処理できなくなる可能性が高いです。
オフィス製品のバージョンアップによる影響とは?
ExcelやWord、Accessと言ったソフトウェアのバージョンアップによっても操作手順や挙動は変わります。
例えばExcelのタブ画面にある画像イメージが変わったり、操作手順が変わるなどもありますので、その度に対応が必要になります。
これは私自身の経験談ですが、過去に作成されたロボットで画面操作を主体に作り込んだものがありましたが、
オフィス製品のバージョンアップの影響を受けてしまい、操作手順や画像イメージの取り直しをしないと動かない状態になったと言うこともありました。
画面操作でロボットを作り込むとこのような事になりかねないので、作りやすいと言うことだけで、画面操作を主体に作るのはあまり推奨出来ません。
運用環境を把握する
これはRPAを稼働させるネットワーク環境等を意味します。
最近はテレワークが多くなっているので、外部からのアクセスが増えた影響もあるので、社内ネットワーク回線スピードが落ちる場合が多いです。
ロボットを実行する上でネットワーク回線スピードの低下はかなり影響を受けます。
これまで全く問題なく動いていたのに、ネットワーク回線スピードの低下によってタイムアウトで止まると言うことも発生しやすくなります。
実際にこの回線スピードの低下による影響と言うのが一番多くて、ロボットのチューニングをしないとまともに動かなくなる場合もあります。
そこでこう思う方もいるのではないでしょうか?
「ロボットを動かしているパソコンを良いものに変えよう」
ですが、そもそも社内ネットワークのスピードが低下している環境下では、いくらパソコンの処理能力を上げても効果がありません。
社内ネットワーク回線の増強と言う対応を施さないと、根本的な改善にはなりません。もちろんこれには相応のコストがかかることになります。
まとめ
RPA開発はシステム開発よりも工数が減らせるのは、あくまでもロボットを作るまでの作業時間までと考えるべきです。
実際に業務で使えるようにするための検証作業は、システム開発とさほど大差が出るものではありません。
ここを知らないままRPA開発を進めると工数が足りなくなるのは自明です。
また、RPA開発を進めるためには理解すべきポイントもあるので、それらをよく理解した上で進めましょう。
特に運用環境については、テレワークの増加による回線負荷が想定されるので、大量データ処理するロボットについては、運用をよく考えるべきだと言えます。